シニア犬のケアと心構えについて
ワンちゃんの寿命は人間の5分の1くらいです。人よりも早く寿命が終わります。
どんなに大切にされた子も、どんなに栄養の十分な子も、
どんなに散歩を十分にしてもらい愛情のかけられた子も、
人間で言うと12才から13才長い子で14才が平均寿命となります。
中には、16才とか17才くらいまで生きられる寿命の長い子もいますが、
一般的には13才というのがワンちゃんの平均的な寿命だと言えます。
そこから考えると、ワンちゃんの1日は人間の5日間に値する位、
貴重なものなのだと理解して下さい。
限られた命の愛犬との生活は非常に貴重であると思います。
多くのワンちゃんが6才位までは何を食べても散歩をしてもしなくても元気に過ごせると思います。
しかし、7歳頃(人間でいう45歳くらい)になると病気の多発期に入ったと認識をして下さい。
これは、人間も同じで45歳頃からガンや心臓疾患など様々の病気がおきやすくなります。
ワンちゃんも若い頃はとても元気ですが、7才を過ぎたあたりから急速に衰える時期があります。
また、年齢と共に体の中のホルモン量が減少していきます。
ホルモンというのは、遺伝子のスイッチをオンにして、
必要な酵素を作ったり元気を作ったりする働きがあります。
若い時期は一気に酵素量が上がり、高い状態が続きます。
しかし、6才(人間でいうと40歳)を過ぎたあたりから急激に下がり、
ワンちゃんの7才から13才まではホルモンが非常に少ない時期になります。
平均寿命が13才でも、
ある子はどんなに可愛がっても早く亡くなってしまうということがあります。
これは、日本の高温多湿という環境が
主に西洋で開発された品種のワンちゃんにおいては過酷な環境となる為です。
特にピレネー犬とかラブラドールレトリバーなど寒い地域で品種改良されたワンちゃんは、
どんなに愛情をかけていても日本の環境の中では急に問題が起きることがあります。
ですので、7才以降は、愛犬に何があっても後悔をしない様な心構えをして
1日1日を過ごして頂きたいと思います。
今回はとても話づらい内容ですが、
愛犬がいつまでも長生きすると思って過ごす状態から、急に亡くなってしまうという状態は、
後悔しても後悔しきれないところがあると思うからです。
もう7才に入ったら、1日1日を特に大事にして過ごして頂きたいと思います。
これは、実はワンちゃんも良く分かっています。
ワンちゃんを購入して家族になってからの半年1年というのは朝から晩まで元気な状態です。
年を取るごとに元気な時間が少なくなってきますが私達飼い主は気がつかないことがよくあります。
ワンちゃんは体力がなくなって元気がなくなったとしても、
飼い主さんといる瞬間はワンちゃんが1番元気だった頃と同じような笑顔・嬉しさで
尻尾を振って迎えたり送り出したりしているのです。
毎朝、出勤や通学(登校)する時間帯はワンちゃんが持っている最大限のエネルギーを使って
「いってらっしゃい。帰って来るのを待っているからね。」と言っているのです。
そして、玄関の扉が閉まった瞬間にエネルギーを使い果たし疲れて、
トボトボと寝床に帰るというワンちゃんも少なくないのです。
そしてまた、家族が帰宅する音を聞くと、ヨボヨボだったシニア犬もぱっと立ち上がり、
急いで家族の元へ駆け寄る玄関までお迎えに行くのです。
私達飼い主は、注意深く毎日ワンちゃんを観察している訳ではないので、
このようなことに気づかないことが多いのです。
いつも元気だと思っているワンちゃんでも、
7才以降からは実は重要なポイントだけ元気にふるまっていて
それ以外の時間はとても疲れていたり、病気がちだったり体力がなかったりして
衰えてきているということがあるのです。
家族としては、食事をしたりお風呂に入ったりしてぱっと出てきた瞬間とか、その他の時間にも
ワンちゃんの様子を見ることで、どの位体力が落ちているのか?とか、どの位衰えてきたのかを
しっかりと見ていくことが大切だと思います。
ワンちゃんの様子から、その子の体力や寿命を、
ある程度理解しながら過ごしていくということが必要だと思います。
ある程度の寿命はありますが、元気で長く生きてくれることに越したことはありません。
ですから、ワンちゃんに、少しでも元気に・少しでも長く、一緒に過ごしていける様に
3つのポイントをご紹介したいと思います。
まず、人間もワンちゃんも後ろ足から老化します。
この老化を止めることが出来ると若々しく元気でいられます。
ワンちゃんの後ろ足の老化をいかに運動によって止めてあげるか?ということが
1日でも長く元気で過ごすポイントになります。
後ろ足を重視して運動をさせてあげると良いでしょう。
2つ目は、加齢と共にホルモン(消化酵素・消化ホルモンなども含む)が低下する為、
シニアにも良質なタンパク質がたくさん必要です。
これはアメリカのストロンベック博士もいっているようです。
消化に時間のかかるタンパク質があると負担がかかります。
しかし、タンパク質の量を減らすと十分な栄養がとれない可能性がある為、
最新の獣医学の食事療法という視点で見ていくと、
消化のしやすい良質な動物性タンパク質をいかにしっかりと摂らせてあげるか?
ということが非常に重要になります。
すなわち、消化吸収の良い質の良いフードを与えて頂くことが、
長生きで病気をしにくいポイントになります。
そして、最後に微量ミネラルというのが、寿命や病気と非常に関係がある為、
微量ミネラルの補給が十分に考慮されているフードを選んで頂きたいと思います。
皆様の愛犬も、悲しいですがいずれ寿命が来ます。
ですが、それまでの期間1日1日を大切にして頂き、その時間を1日でも長く過ごして頂く為に、
上記の3つポイントを今日から実践して頂ければ・・・と思います。