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犬の病気とお悩み辞典 Pet-Wellness ペットウェルネス

犬の腎不全について

犬の腎不全

急性腎不全は、何らかの原因(毒物の誤飲等)により腎機能が急激に低下し
その結果、体の内部環境の維持ができなくなった状態です。
症状としては、尿が出なくなり、体内に毒素が溜まり、嘔吐が続きます。原因としては、自動車のラジエーターに入れる不凍液(エチレングリコールという成分で、
炭化水素という種類の化学成分に分類されます。犬猫にとっては甘いため事故が起きやすい。)
を舐めてしまったり、農薬を舐めてしまうなどの中毒症状が考えられます。

グリコール類である炭化水素は、一様にこのような性質があります。

犬のおやつに弾力を持たせ触感をよくする為に使用されているプロピレングリコールについては、
比較的安全な素材として使われるケースが多々ありますが、
耐性の弱い子には控えた方が良い成分です。

不凍液の他には、関節が痛そうだからと言って
人間用の痛み止めをあげてしまって、急性腎不全になる子もいます。
特に人間用のお薬で使用されている鎮痛剤のイブプロフェンは、
5キロの犬の場合、4錠で深刻な腎臓障害がでるという報告があります。

犬の代謝と人間の代謝が違うので、
人間には毒性がなくてもワンちゃんに毒性がある薬は多いので注意が必要です。

また殺鼠剤、除草剤(パラコート)やゴキブリ・アリ駆除剤(ホウ酸)なども
腎臓に大きなダメージを与えます。
殺鼠剤(カルシフェロール含有殺鼠剤)を食べたねずみを
犬が誤食してしまうことで急性腎不全になる子がいます。

急性の場合は、それらの毒物を飲んでしまったケースも多いので、
毒になるようなものは、犬のいる場所にはなるべるおかないようにして下さい。

犬の慢性腎不全

慢性腎不全は、様々な原因により徐々に腎臓の働きが低下していく状態をいいます。働きの落ちている程度によって軽度な方から、腎機能障害・腎不全・尿毒症に分類されます。
正常時の2分の1以下に落ちている段階あたりから慢性腎不全といいます。

症状としては、腎臓の働きの落ちている程度が軽い間は、
飼い主様が気づくほどの症状がほとんどありません。

50年くらい前には「レプトスピラ症」という感染症にかかり
慢性腎不全になる犬がいましたが、最近はあまりいません。

様々な動物の中でも、犬と猫は腎臓が悪くなる確率が高いといわれています。
しかしその原因は不明といわれています。

クマやキリンやネズミ等を見ていても、最後に腎不全で亡くなるケースはそれほど多くありません。
色々な特性がありますが15歳以上の犬や猫の腎疾患は10%くらいといわれています。

この発症率の高さは、自然療法的に見ていくと、
遺伝的な要素に加え、粗悪なペットフードが関係しているのではないかと考えられます。
(メラミンを含んだフードで欧米などでは大きな問題となりました)
ペットフードの普及と共に慢性腎不全の発症が増加したと因果関係を疑っている獣医師もいます。

ドックフードを作る時に、新鮮な肉類を使わなければならない理由の一つが、
一旦、悪玉微生物などが肉類に発生すると、
仮に殺菌しても細菌を作っている菌体の部品自体が毒素(エンドトキシン)として
腎臓などにダメージを与える作用が知られているからです。

この毒素(エンドトキシン)は加熱しても無毒化しません。
その為ドックフードに質の悪いタンパク系原料を使用している恐れのあるものは
犬にとって好ましくないといえるでしょう。

質の悪い汚染の可能性のある原料を使用したドックフードは、臭いが悪いので、
そのようなドックフードは腎臓ケアを考えた場合はできるだけ避けたほうが安全といえるでしょう。

ここで問題になるのは
ドッグフードで使用されることのある「粗悪なレンタリングされたタンパク質」です。

流通している商品の中には、腎臓疾患に配慮したフードとして、
タンパク質を避ける傾向で作られているものがあります。
蛋白が少な目で製造されているため、尿素・アンモニアの抑制をするには良いでしょう。

しかし、不十分な蛋白質によりその他の身体が弱っていくことも考慮する必要があります。
加水分解されたタンパク質や大豆たんぱくで消化率が90%以上というような
価格の高い原材料が主ですとどうしてもフードへの配合量が少なすぎる場合もあり、
栄養不足から徐々に痩せていく場合もあります。

ですが、消化しにくいタンパク質は大腸の中で毒性物質を出し腎臓への負担が増しますので、
出来るだけ吸収しやすいタイプのタンパク質をとって、
消化に負担のかかるようなタンパク質を少なくしようという考え方は正しいフードといえます。

植物性タンパク質というのは、どうしてもアミノ酸スコア的に良質な肉類に比べ、
余分に摂取しなければ体が維持しにくいという傾向があります。

ワンちゃんに大豆たんぱくだけではどうしても弱い部分があります。

そしてアミノ酸スコアという考え方は、犬ではなく人で当てはめた考え方です。
アミノ酸スコアが人とワンちゃんでは違う可能性も考慮しなければなりません。

人間も腎臓が悪くなる原因の多くが自己免疫系の乱れから起こるようです。
IgA抗体が腎臓に付着して、それが原因で腎臓を破壊するというようなことが
人間の腎炎でもとても多いことが知られています。

本来自分を守るための免疫物質IgAが自分の体の腎臓に吸着してダメージを与えてしまうのです。

このようなことから考えて、質の悪いドックフードに含まれる変性(変質)したたんぱく質や、
細菌の毒素を含んだフードを食べている子では、
このような事が起こり、腎臓にダメージを与える危険性が高いと考えられます。

市販のドックフードで高い確率(約50%)で有害細菌が発見されたという報告もあるようです。
生きたサルモネラ菌がフードの中で繁殖して汚染しているケースもあるようです。

最近では2013年春に、アメリカにあるドッグフードメーカーNatura社製の複数のドックフードが
回収になりました。(カリフォルニアナチュラル、イノーバ、EVO等)
その原因もサルモネラ菌でした。

これは愛犬家にとって大きな問題です。
サルモネラ菌など有害細菌が原因となり腎臓機能が低下してしまった場合は、
慢性腎不全に移行していく可能性があるからです。

あと腎臓の機能が落ちれば、取らなければいけない栄養素も取れなくなるので、
どんどん体重が落ちるなどの症状がみられます。

当然、さまざまな毒素が十分に排泄されず血液中をぐるぐる回るわけですから、
他の臓器も痛みやすく、嘔吐や元気を失っていく症状がでる可能性があります。

そのようなことが起きているペットでは、
疲れやすい、元気がなく、覇気もなくなるなどの症状が見られます。

犬の腎臓疾患の治療法